最終更新日 2024-09-25

C++/CLIからIronPythonModを使う場合

概要

ここでは、C++/CLIからIronPythonModを利用する例を記載しています。

一足飛びにHD.version.SDKで利用すると、本質が見えにくくなるかもしれません。
ここでは一旦汎用的なC++/CLIでの最小サンプルで雰囲気をつかんでみましょう。

プロジェクトの作成

適当にC++/CLI(CLR)のコンソールアプリケーションを作成してみましょう。
.NET FrameWorkのバージョンは、HD.version.SDKと合わせて4.6としておきましょう。

C#の時と同様に、HD.IronPythonMod.dllを参照に加えてください。

HD.veresion.SDKと類似の環境を想定するため、文字コードを「マルチバイト」の設定としましょう。

C++/CLI側

C++/CLIのソース
#include "stdafx.h"

using namespace System;

using namespace IronPython::Hosting;
using namespace System::Collections;


int main(array<System::String ^> ^args)
{
  auto pe = Python::CreateEngine();

  // その場で式を実行。
  int result32 = pe->Execute<int>("2 ** 5");
  Console::WriteLine(result32);
  Console::WriteLine();


  // ファイルを実行。
  auto scope = pe->ExecuteFile("script.py");

  // 変数 abc を intとして取得
  int val = scope->GetVariable<int>("abc");

  // 変数 name を String^として取得
  String^ str = scope->GetVariable<String^>("name");

  // 変数 ret_valを「ArrayList^」型として取得
  ArrayList^ arr1 = scope->GetVariable<ArrayList^>("ret_val");
  for each (int l in arr1) {
    Console::WriteLine(l);
  }

  // 関数を呼び出し
  pe->Execute("hello('world')", scope);

  // 関数を呼び出すが、返り値は、String^型とみなす
  String^ ret1 = pe->Execute<String^>("get_hello('world')", scope);
  Console::WriteLine(ret1);

  // 日本語名の関数を呼び出すが、返り値は、String^型とみなす
  String^ retstr = pe->Execute<String^>("ハロー('world')", scope);
  Console::WriteLine(retstr);

  // 関数を呼び出す。返り値はArrayList^型
  ArrayList^ arr2 = pe->Execute<ArrayList^>("get_ret_val()", scope);
  for each (int l in arr2) {
    Console::WriteLine(l);
  }

  // intを引数に取って、boolを返す関数
  auto funcIsOdd = pe->Operations->GetMember<Func<int, bool>^>(scope, "is_odd");
  bool b1 = funcIsOdd(3);
  Console::WriteLine(b1);
  bool b2 = funcIsOdd(4);
  Console::WriteLine(b2);

  return 0;
}

Python側

スクリプト側となるPython側のソースも用意します。
Pythonは「空白やインデント」も文法に含まれますので、注意してください。

C++/CLIの「マルチバイト」から呼ばれますので、「script.pyのソースコードの文字コードをShitJIS(=cp932)」で保存してください。
(テキストエディタなどで実際に確認してください。間違っているとSyntax Errorが出ます)

IronPythonのソース:script.py
# coding: cp932


from System.Collections import *

abc = 3

name = "武田信玄"

def hello( x ) :
  print "hello, " + x

def ハロー( x ) :
  print "ハロー, " + x
  return "ハロー" + x


def get_hello( x ) :
  return "hello, " + x


a = [10,20,30]
ret_val = ArrayList(a)

def get_ret_val() :
  return ret_val


def is_odd(num):
  if num % 2 == 1:
    return True
  else:
    return False

以上となります。

IronPythonがそのままcp932を取り扱えることは、HD.version.SDKで利用する上では
非常に大きなポイントとなります。

C++/CLIには残念ながら、C#のdynamicに相当するものがありません。
よって、C#ほどには、自然な記述でIronPythonを取り扱うことは出来ません。

しかし、pe->Execute<返り値の型>("IronPythonのコード", scope);
を取り扱うことで、文字列ベースで引数や関数などを操作し、
返り値は、.NET FramwWorkの型を介することで、比較的便利に情報をやり取りすることができます。